簿記の出発点となる最も基礎的な等式ですから、簿記の基本等式とよばれます。
簿記等式で示された資産、負債、資本の項目は、商店や工場の財政状態を示す貸借対照表とよばれる計算書に表示されます。
貸借対照表は、一定時点におけるその商店または工場の資産、負債、資本の明細を示すものですが、それは簿記の基本等式にもとづいて作成されます。
東京商店の平成×年1月1日の貸借対照表を示すと、資産、負債、資本の内容を詳しく表示したものですが、この計算書を作成する場合には、店名と年月日をはっきりと記入しておくことを忘れてはなりません。
貸借対照表に店名が記入してないと、この貸借対照表がどの店の財政状態を示しているものかがわからないからです。
また貸借対照表に年月日を明示することも重要です。
この年月日は、貸借対照表に示されている資産、負債、資本が、いつの日の状態を示しているかを知らせるために必要なのです。
商店や工場では、営業活動の結果、資産、負債、資本の金額はたえず増減します。
したがって、貸借対照表に日付を明示していないと、貸借対照表がいつの財政状態を示したものであるかがわかりません。
このため、貸借対照表には年月日を記載して、それがいつの財政状態を示したものかをはっきりわかるようにしておきます。
いま、貸借対照表は商店や工場の財政状態を表示するものであるといいましたが、この意味を少し考えてみましょう。
貸借対照表の左側にはその商店または工場のもっている資産が示されます。
これによって営業目的に投下された資金がどのような形態で運用されているかを知ることができるわけです。
言いかえると、貸借対照表の左側は、営業上どのような資産に資金が投下されているか、その使途を明らかにします。
貸借対照表の右側にはその商店や工場の負債と資本が示されます。
これによってその商店や工場の資金がどこから求められているかを知ることができます。
資本の金額は、営業上使用している資金のうち店主または工場主が出した部分を意味し、負債の金額は店主または工場主以外のものから求められた部分を表わしています。
つまり、貸借対照表の右側は資金の出どころを示しているといえます。
このように貸借対照表では左側に資金の使途が示され、右側には資金の源泉が示されます。
ここで注意しなければならないことは、貸借対照表の左側と右側は、営業上使用されている資金を、それぞれ別の角度からつかんでいるにすぎないということです。
東京商店の貸借対照表でいえば、この商店が営業上使っている資金は¥500,000であって、資産の合計¥500,000と負債・資本の合計¥500,000を合わせた¥1,000,000ではないということです。
貸借対照表では、営業上使用されている資金がどういう形態で使われているかという観点から分類して表示し、貸借対照表の右側では、こうした資金の出どころはどこかという観点から分類して表示しているにすぎません。
このことはよく理解していただきたいと思います。
そうでないと、「貸借対照表には資本金が¥400,000と示されているが、金庫のなかにはそれだけのお金がない。
これはどういうわけですか」などと、おかしな質問をするようなことになります。
これまでに帳簿をつけ始めるときには、営業上使用している財産をはっきりさせることが必要であると説明してきました。
また営業上の債務をはっきりさせることが必要であるともいいました。
そこで帳簿をつけ始める際には、帳簿をつけ始める日の営業用の財産と債務とを調べるわけです。
こうした営業用の財産と債務の金額がわかれば、資本金の金額もその差額として計算されますので、帳簿をつけ始める最初の日の貸借対照表を作成することができます。
こうした貸借対照表は、帳簿をつけ始める際には必ず作っておかなければなりません。
この簿記の出発点としての貸借対照表は開始貸借対照表とよばれます。
また新しく商店や工場を始める際に作成するこうした貸借対照表はとくに開業貸借対照表とよばれます。
簿記では、資産、負債、資本という3つの計算項目を使用します。
資産とは、営業上使用される現金、売掛金、車両、備品などの財貨または権利のこと。
負債とは、買掛金、未払金、借入金など営業上生じた債務をいい、営業上使用している財産額のうち店主または工場主以外から求められた金額を示します。
資本とは、店主または工場主がその所有する全財産のうち営業のために用いている財産の金額をいいます。
貸借対照表は一定の日における商店または工場の資産、負債、資本を示す計算書であるが、簿記の基本等式にもとづいて作成され、左側には資産が、右側には負債と資本が表示されます。
帳簿をつけ始める際には、その出発点として、帳簿をつけ始める最初の日の資産、負債、資本を示す貸借対照表を作成しなければなりません。
貸借対照表は一定の日における資産、負債、資本の諸項目の金額を示したものです。
したがって、その日以後に、資産、負債、資本の諸項目の金額に変化が生ずれば、変化したあとの状態を示すために、新しく貸借対照表を作りなおしていかねばなりません。
しかしながら、資産、負債、資本の金額が変化するたびに、そのつど新しく貸借対照表を作るということは、あまり実際的ではありません。
資産、負債、資本の金額は営業活動によってたえず変化するわけですから、それに応じて貸借対照表を作りなおすということは非常に手数がかかります。
そこで、簿記では勘定とよぶ形式を使って、これらの項目の変化を示していきます。
資産、負債、資本の諸項目のそれぞれについて、勘定を設ければ、各項目の金額の増加または減少はそのつどこれに記録していくことができます。
勘定は左右2つの記入場所をもっています。
その左側は借方とよばれ、右側は貸方とよばれます。
もっとも、この借方とか、貸方ということばは借りるほうとか、貸すほうというような意味はもっていません。
単なる場所を示す用語として理解して下したがってこれらの用語のかわりに、左側とか右側とよんでもいいわけですが、簿記では慣習的に、借方、貸方ということばが使われているので、ここでも、そのようによびましょう。
勘定の借方に記入することを「借方記入」または「借記」するといい、勘定の貸方に記入することを「貸方記入」または「貸記」するといいます。
この勘定による計算の特徴は記入場所を2つもち、増加額と減少額が別々の場所に記入されることにあります。
このため、増加金額の合計も、減少金額の合計も簡単に計算できます。
勘定は、資産、負債、資本の計算項目ごとに設けられ、それぞれの増減金額を記録計算しますから、勘定ごとにその計算項目を示す名称をつけます。
たとえば、現金の増減を記録計算する勘定は現金勘定、売掛金の増減を記録計算する勘定は売掛金勘定というようによぶわけです。
勘定につけられたこうした名称を勘定科目といいます。
なお勘定は英語でAccountとよばれますから「勘定」に代えて、a/cという略字を使うこともあります。
現金a/c、売掛金a/c、というぐあいに使うわけです。
これまでのように、貸借対照表でも、簿記の基本等式でも、資産は左側に記入され、負債と資本は右側に記入されていました。
勘定を設定する場合にもこれと同じ等式が使用されます。
資産勘定を開設する場合には、資産の金額は勘定の借方に記入されます。
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